壺中夢の47人のおんなたち

輝ける
47人のおんなたち

熊本県安永蕗子(1920~2012)熊本県熊本市出身 歌人

勲四等瑞宝章受賞、短歌研究賞受賞、現代短歌女流賞受賞、県民文化賞受賞

俳人の塚本邦雄は安永蕗子のことを“肥後の魔女”と呼んでいます。そして安永は抑えに抑えて滲み漏れる情感を、こまやかに、たけ高く歌うはいぶし銀の照り曇りと言葉を添えています。内省的な孤独感を前衛的なダイナミックさで覆ってしまう歌人ですから、技量の凄さが非常なことから魔女と呼んでしまうのではないかと思われます。安永蕗子は真正面からの真実を歌いながら奥深い側面へと我々を導きます。
余韻を残す言葉の数々、その一部を並べてみました。

“月差して荒野の如き古だたみしずけき我も秋のけものか”
“紫の葡萄を運ぶ舟にして夜を風説のごとく発ちゆく”
“ひとの世に混ざりて来てなほうつくしき無紋の蝶が路地に入りゆく”

2011 元旦 歌会始の儀 召人 91才
“山茶花の白を愛した母想えば葉と葉のあひのつぼみ豊けし”

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