壺中夢の47人のおんなたち

輝ける
47人のおんなたち

秋田県小野小町(生没年不詳)秋田県湯沢市出身 歌人(9世紀ごろ)

“花の色はうつりにけりないたずらにわが身世にふるながめせしまに” 
「古今集」(百人一首9番)

小野小町は六歌仙、三十六歌仙の一人で平安時代の筆頭にあげられている女流歌人です。
彼女が絶世の美人であったという諸説の根拠は上記の歌に“花の色はうつりにけり……”と自ら美人であったと名乗っていること、紀貫之の「いにしへの衣通姫(そとおりひめ:絶世の美女)の流なり」から美人であったと連想すること、また平塚らいてうは日本で独身を守り抜いた女性に小野小町をあげていたり、“小町語り”をする上で日本人の好きな内省的な美女が無常観の美学に都合よく正確な経歴の不詳により理想的な女性の伝説として広がった経緯があるようです。「桜の花の色はむなしく衰えていってしまった、春の長雨が降っている間に、ちょうど私の美貌が衰えたように、恋や世間の諸々を思い悩んでいるうちに」、色あせた桜に老いた自分を重ねる、老いさらばえてドクロになった小町が現世に未練を残して幽霊として登場する能・観阿弥の「卒塔婆小町」や夢幻能「通小町」、謡曲や歌舞伎、美術、小説、アニメに至るまで限りなく時代に合わせて流布し続ける小町伝説です。生没年不詳で生誕地は確定できません。諸説ある中から資料の多い秋田県湯沢市を選択しましたが仮定の地に他ならないことを付け加えておきます。

(参考文献:「小倉百人一首の歌人」「日本の伝説」「秋田県の歴史」「平安時代の歌人」)

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